エンジニア

エンジニアにこそ必要な「成長マインドセット」

今日はエンジニアにこそ必要なマインドセット(考え方の癖、思考傾向)である「成長マインドセット」について考えてみたいと 思います。

「成長マインドセット」と比較されるのが「証明マインドセット」で、私はハイディ・グラント・ハルバーソンさんの『やる気が上がる8つのスイッチ』という本でこれらの考え方について出会いました。

かいつまんで言うと、

「証明マインドセット」を持つ人は、自分の能力の証明に焦点を当て、エネルギーを注いでいます。すなわち、人に自分の能力を見せつけ認めさせようとしているのです。

「成長マインドセット」を持つ人は、自分が向上することに焦点を当てています。 能力を高める、新しいことを学ぶ、そして時間とともに向上していく、それらが重要だと思っています。

著者のハイディ・グラント・ハルバーソンさんによると、私たちは固定的にこのどちらかのマインドセットを持つわけではないといいます。ただ言えることとして、明らかに「成長マインドセット」を持つことが有利に働くと書かれています。

「証明マインドセット」では苦しい

エンジニアに限ったことではありませんが、証明マインドを持つ人は、仕事をすることを自分の能力を証明に使うことになってしまいます。

例えば大学卒で会社に入った人がプログラミングが未経験だったとします。同期や後輩で工業高校や専門学校を出てプログラミングの経験がある社員がいた場合、えてして大学出の人よりもできることが多かったりします。ここで大学を出たからと言って「大学卒なのだからこれくらいはできる、ということを証明してやろう」となどと躍起になってしまうというのが証明マインドです。

証明マインドマインドであっても努力することは可能です。努力した結果、他の人と同等か、それ以上の成果を上げたとします。心の中で「どうだ。自分だって本気になればこれくらいはできるんだ」と自分が無能でないことを証明できてホッとします。

このマインドセットを持っている人は、自分が能力を豊富に備えていることを相手に見せて認めさせたいと考えます。

だから、自分と他人をいつも比べています。

また、分からないことがあったとしても人に教えを乞うということがなかなかできません。それを聞くと自分の無能を証明したことになってしまうと思い込んでしまうのです。

さらに自分よりも優秀な後輩が入ってきた場合はどうなるでしょうか?自分のほうが有能であると「証明しよう」とすれば仕事を教えると自分にとって不利になるため、部下の成長を妨げるようなことをしてしまいかねません。

このように回りとの人間関係においてもあまり良好な関係が築けなくなってしまいます。

そして、「証明マインドセット」のままだと困難にぶち当たったときに、不安に押しつぶされてしまったり、あきらめてしまうことが多いそうです。そして、 周りで挑戦しては結果を出している人を見てますます自信をなくしてしまうことになります。

エンジニアも「成長マインドセット」を

一方「成長マインドセット」を持つ人は、仕事を通じて自分がどれだけ成長できたかにフォーカスしており、自己評価に他人との比較を持ち込みません。

たとえば、同期や後輩で自分よりも優秀な人がいた場合、そのことをまず認め、受け入れたうえで、むしろその人から学ぼうとします。

仕事においては自分よりもはるかに結果を出しているひとがいたとしても、比較によって自分を評価するのではなく、自分が努力してどれだけのことができるようになったか、自分がどれだけ成長できたかを自己評価の基準とします。

「成長マインドセット」を持つ人は、分からないことがあればわかりそうな人を見つけて質問します。

質問した結果、問題が解決した場合、自分よりも教えてくれた人が有能なんだなどと考えるのではなく、理解できるようになったことや結果を出せるようになったことに喜びを見出すことができます。

質問に答えてくれた人には報告しますし、良い結果が出れば素直に感謝の意を伝えることでしょう。

そうすると教えた側の人はどう思うでしょうか?

教えてよかったと思うでしょうし、「分からないことがあったらいつでも聞いてほしい」という気にもなると思います。もし自分にも分からないことが出てきたら逆に聞いてみようと思います。

そうやって質問し合うような良い循環が生まれますので、そのような人間関係を作れたチームはスピード感を持って成長していきます。

「成長マインドセット」であることは、個人の成長だけにとどまらず、チームの成長にも好材料と言えるでしょう。

では、「証明マインドセット」か「成長マインドセット」であるかは、生まれつきの性格や価値観に左右されるものなのでしょうか?「証明マインドセット」から「成長マインドセット」に変わることは可能なのでしょうか?

著者のハイディ・グラント・ハルバーソンさんによると、難しいことではあるが、可能だといいます。その具体的な方法について学びたい方は書籍『やる気が上がる8つのスイッチ』を読んで実践してみてください。

ぜひ「成長マインドセット」を身につけて、個人のエンジニアとしてのみならず、チームの成長につなげてみてください。